「エジソン箸は買うな」に反論する気はない
正直に言う。「エジソン箸は癖がつく」「普通の箸に移行できなくなる」「リングに頼りきりになる」という批判、ぜんぶ読んだ。で、それを読んだ上で買った。
2歳の息子がスプーンとフォークに飽き始め、食卓で私の箸を奪おうとし始めたのが発端だった。試しに大人用の箸を握らせてみたが、当然うまく使えずご飯粒を飛ばして泣いた。このまま「まだ早い」と諦めさせるより、何かきっかけを作ってあげたかった。
それから半年以上、毎日3回の食事でエジソンのお箸を使い続けた。批判されている「癖がつく問題」は本当に起きたか?普通の箸への移行はどうだったか?2歳児のリアルな使用記録を全部書く。
エジソンのお箸とは?シリーズ構成をまず整理する
「エジソンのお箸」はEDISONmama(エジソンママ)が製造するトレーニング箸のシリーズ。2本の箸が連結されており、指を入れるリングが正しい持ち方の位置をガイドしてくれる仕組みだ。
対象年齢によってシリーズが分かれている。
- エジソンのお箸I:2歳〜就学前、16cm。一番小さいサイズ。今回使ったのはこれ。
- エジソンのお箸KID'S:入園〜小学校低学年、17.5cm。幼稚園・保育園デビュー時の定番。
- エジソンのお箸II:小学校入学〜手の小さい大人、18.5cm。リングを外す練習ができる設計。
今回レビューするのは「エジソンのお箸I」。2歳息子が使えるサイズとして選んだ。キャラクターなし版から、トーマス・カーズ・アンパンマンなどのコラボ版まで多数ある。我が家が選んだのはシンプルなブルー。
購入したのはコレ
エジソンのお箸I / 2歳〜就学前 / 16cm / 右手用
ASIN: B00SXYXIS6(ピンク)・B00RZ566VU(トーマス/ブルー)
使い始めた日のこと、正確に覚えている
息子が2歳4ヶ月の頃、届いた箱を開けてすぐにリングに指を入れさせてみた。最初の30秒で「パチン」とお豆腐を掴んだ。本人より私が驚いた。
その日の夕食は、普段より20分長く座っていた。スプーンを渡しても受け取らなかった。「じぶんでやる」という言葉を、この日初めて食卓で聞いた気がする。
ただし、翌日はほとんど使えなかった。気分によって「リングに指を入れたくない」日がある。この波は2週間くらい続いた。
2歳に「エジソン箸はダメ」論への正直な評価
批判の要点は大きく3つある。それぞれ、半年使った上で答える。
批判①「正しいお箸の持ち方が身につかない」
これは半分本当だ。エジソンのお箸は、お箸を「動かす」動作をリングが補助する。実際のお箸の操作は親指・人差し指・中指の3点で制御するが、リングがあると指の力がいらない。
ただし、「2歳に正しい持ち方を最初から教える必要があるか」という問いには疑問を感じる。EDISONmama監修の作業療法士のコラムでも、2〜3歳は「食具への興味を持たせる」段階であり、正確な持ち方の習得は早くとも4〜5歳以降とされている。2歳にいきなり正しい持ち方を求めるのは、そもそも発達的に無理がある。
批判②「リングに依存して普通の箸に移行できなくなる」
これは使い方次第だと感じた。3歳を過ぎたころから「リングなしでもやってみる」という気持ちが本人に出てくる。問題になるのは、子どもが「リングありが当たり前」と感じたまま何年も使い続けるケース。移行のタイミングを逃すと確かにそうなる。
後述するが、移行は「子どもが自分でリングに触れなくなってきたとき」がサイン。親が無理に外すより、自然にリングが邪魔になる瞬間を待つのが現実的だ。
批判③「箸先が滑る・つかみにくい」
2歳の使用初期は確かにそう感じた。が、これはエジソン箸に限らずトレーニング箸全般の課題で、扱いやすい食材(切った豆腐、ブロッコリー、大きめのパスタ)から始めると解決する。ご飯はスプーンとの併用で問題なかった。
実際に感じたメリット3つ
①「じぶんでやる」気持ちが食卓に生まれた
この変化が最も大きかった。それまでは食事中の座り時間が短く、途中でお皿をひっくり返すことも多かった息子が、箸を持つようになってから自分から食卓に向かうようになった。成功体験が積み重なると食への意欲が変わる。
食事エプロンの使用頻度はむしろ増えた(掴もうとして落とす試行錯誤がある)。うちで使っているのはビベッタのウルトラビブで、この時期は洗濯乾燥を毎日かけている。
②指の位置を「正しく直す」コストがゼロ
普通の箸を初めて渡すと、親が「そこじゃない、もっと上」と声をかけ続けることになる。エジソン箸はリングが物理的に指を正しい位置にガイドするので、その都度訂正する必要がない。食事中に何度も注意されると子どもも食事が嫌いになる。その負の連鎖を防げた点は大きい。
③形が固定されているので洗いやすい
2本が連結されているので紛失がない。シリコンリングは食洗機対応。離乳食期の食器洗いと同じ感覚で管理できる。地味に重要な点だ。
正直なデメリット2つ
①使える食材に限界がある
ラーメン(麺が絡みにくい)・豆・ひき肉・ご飯はかなり難しい。結局スプーンと両刀で使うことになる。「箸で全部食べられる」という期待は2歳段階では禁物。
②「リングなしで試してみたい」という気持ちを阻害することがある
3歳近くになると、本人が「リングを外したい」と感じることがある。その気持ちが芽生えたのに「まだエジソン箸で練習して」と止めてしまうと、意欲をつぶすことになった。この見極めに失敗したのが我が家のミスだった。
普通箸への移行、正解のタイミングはいつ?
最終的に我が家で機能した移行方法を共有する。
息子が2歳10ヶ月ごろ、食事中にエジソン箸のリングをわざと外そうとする動作が出てきた。「邪魔」という感覚が出てきたサインだ。このタイミングで普通の竹箸(子ども用、18cm)を一緒に食卓に置き始めた。強制はしない。
最初の1週間は気分でどちらを使うかが変わった。3週間後には、自分から竹箸を選ぶ日が増えた。1ヶ月後にはエジソン箸を使わなくなった。
移行のポイントを整理すると:
- 子ども自身が「リングが邪魔」「外したい」と思い始めた頃が移行のベストタイミング
- 親から強制的に取り上げない。「普通の箸も出しておく」という方法が有効
- 移行期間中は両方使いでいい。無理に一本化しない
- おおよそ「2〜3ヶ月でリングへの依存はなくなる」のが我が家の体験
注意:移行のタイミングを逃すと「依存」になりやすい
「リングが邪魔」というサインが出たときに移行を始めないと、リング依存が習慣化する可能性はある。これが批判の「普通の箸に移行できない」問題の本質。エジソン箸自体の問題というより、使い続けるタイミングの問題だ。
エジソン箸が向いている子・向いていない子
向いている:
- 2〜3歳で箸への興味が出てきた
- 食事への意欲を高めたい
- 普通の箸を渡すと「難しくて嫌」となってしまう
- 正しい指の位置を毎回声がけする余裕が食卓にない
向いていない(別のアプローチを検討):
- 4歳以上ですでにリング箸に数年慣れている(移行のハードルが上がる)
- 作業療法士や保育士から手の発達について別の指示を受けている
- 箸に全く興味がなく嫌がっている(無理に始める必要はない)
参考として、厚生労働省「楽しく食べる子どもに〜食からはじまる健やかガイド〜」では、2〜3歳の食の発達段階を「自分で食べることへの意欲を大切にする時期」と定義している。エジソン箸は、この意欲を引き出すツールとして合理的な選択肢だと感じた。
他のトレーニング箸との比較
我が家では購入前にピジョンのはじめてのお箸とエジソンのお箸Iを比較した。ピジョン版はリングなしで箸の形状自体が持ちやすくなっているタイプで、より「本物の箸に近い」動作感覚がある。その分、最初の難易度は高い。
「まず成功体験をたくさん積ませたい」ならエジソン。「最初から普通の箸に近い感覚で練習させたい」ならピジョン。2歳スタートであれば、成功体験優先のエジソンが我が家には合っていた。
グッズ選びの小まとめ:離乳食卒業期の食卓準備リスト
箸デビューと同時期に見直した食卓周りのグッズを参考に載せておく。
- トレーニング箸:エジソンのお箸I(本記事)
- 食事エプロン:ビベッタのウルトラビブ(洗濯乾燥に強い)
- 乳幼児の食事メニュー参考:キューピーベビーフードのレビュー
- 食事中の水分補給:リッチェル いきなりストローマグ(2歳でもコップ代わりに使えている)
パパラボの結論
「エジソン箸はダメ」という主張には一定の根拠がある。リング依存が長期化するリスク、本来の箸操作との乖離、これらは事実だ。
ただし、「2歳から箸への興味を引き出す」という目的に限れば、エジソンのお箸Iは現状で最も使いやすい選択肢のひとつだと感じている。「一生使うつもり」で買うのが間違い。「箸に慣れるための足場」として使い、本人に「リングが邪魔」という気持ちが出てきたら普通の箸に移行する。それだけのことだ。
我が家では2歳4ヶ月から始めて、2歳10ヶ月すぎに普通箸へスムーズに移行できた。後悔はない。ただし、移行のサインを見逃して3歳以降も使い続けていたら、批判通りの結果になっていた可能性は高い。タイミングが全てだ。
