「くもんのパズル」はジグソーだけじゃない——ソフトパズルとは何か
くもんのパズルと聞くと、多くの人がSTEP1〜STEP8のジグソーパズルシリーズを思い浮かべるはずだ。くもんのジグソーパズルシリーズは対象年齢1.5歳〜で、1ピースの簡単な形あわせから234ピースの本格パズルまで8段階に分かれている有名な製品ラインだ。
一方「はじめてのソフトパズル」は、このジグソーシリーズとは全くの別物だ。素材がスポンジ状のやわらかいフォームでできていて、ピースを「ボードから引き抜く→穴にはめ込む」という動作を繰り返して遊ぶ、いわゆる型はめパズルの一種だ。対象年齢は同じく1歳6ヶ月からだが、ジグソーよりもはるかに力加減が大雑把な時期の子どもに向いている設計になっている。
1歳半の息子にジグソーのSTEP1を触らせてみた日、ウサギの形のピースを両手でつかんで引っ張ったら、ピース自体が少し歪んだ。紙製のジグソーパズルは、1歳後半の「力の加減が全くできない」状態の子どもには早い。ソフトパズルはその時期を橋渡しする製品として位置づけられている。
セットの中身:4枚のシートで何ができるか
はじめてのソフトパズルには、以下の4枚のシートが付属する。
- 大判シート・動物:ゾウ・うさぎ・くまなど、比較的大きなピースが並んでいる。最初に渡すのはここから。
- 大判シート・のりもの:電車・車・バスなど。動物より少し形が複雑になっている。
- 小判シート・動物:大判と同じモチーフだが、ピースが一回り小さい。指先でつまむ精度が上がってからが本番。
- 小判シート・のりもの:一番難しいシート。小さいピースで形も複雑なため、2歳前後から本格的に遊べるようになった。
設計のポイントは「形の複雑さ」だけでなく「ピースの大きさ」も段階を踏んでいることだ。1歳半前後は指先でつまむ動作(ピンチグリップ)がまだ発達途上のため、小さなピースはそもそもつかめない。大判シートから始めて、指先の力と精度が上がるにつれて小さいシートへ移行できる仕組みになっている。
また全てのピースがフォーム素材なので、踏んでも踏まれても折れない。息子は1歳後半のとき、よくパズルの上にダイレクトにお尻をのせていたが、ピースが歪んでもすぐ元に戻った。紙製のジグソーパズルにこれをやったら確実に破損する。
1歳半から2歳まで:息子の反応を月別に振り返る
実際に息子に与えてから2歳になるまでの半年間の変化を書いておく。個人差が大きい部分なので参考程度に読んでほしい。
1歳半〜1歳8ヶ月:「外すのが楽しい」フェーズ
最初の2ヶ月は、ほぼ「ピースを引っこ抜く」だけだった。大判シートのゾウやクマのピースを両手でつかんで力任せに引き抜き、放り投げる。これを繰り返す。はめる動作はほとんどしない。
これは正常な発達過程で、「外す→元に戻す」という順番で習得していくのが一般的だ。外すだけでも「引っ張る力の調整」と「対象を認識してつかむ」という2つの動作が含まれている。はめ込む動作への移行を急がせる必要はない。
1歳9ヶ月〜1歳11ヶ月:「合わせようとする」フェーズ
急に、外したピースをシートの穴に近づけてはめようとするようになった。最初は向きが合わず、回転させながら試行錯誤している。ゾウのシルエットは比較的わかりやすい形なので、ここから「正しい向きにはめ込む」という体験が生まれた。
このフェーズでよく泣いていた。向きが合わなくて「入らない」というもどかしさが爆発するパターンだ。ここで手伝いすぎると「できた」という達成感を奪うことになるので、見守るのが正解だと後から気づいた。
2歳前後:小判シートへ移行
大判シートを全部はめられるようになったのが2歳の少し手前だった。同じタイミングで小判シートを追加して渡すと、最初は「小さくてつかめない」という段階から再スタートした。指先でつまむピンチグリップがさらに鍛えられる時期だ。
知育効果について:公的な情報ベースで確認したこと
型はめパズルで鍛えられると言われているのは主に以下の2点だ。
- 手指の巧緻性:つまむ・回す・押し込むという細かい動作が指先の神経発達を促す。これは文部科学省の幼児期の教育に関する方針でも「手指を使った遊びの重要性」として言及されている。
- 形の認識と空間把握:ピースを回転させながら「この形はここに入る」と認識する過程が、形・色・大きさの識別能力を育てる。
ただし「知育効果があるからこのおもちゃを使えば頭がよくなる」という単純な話ではない。日常的な遊びの中で「繰り返し試行して、合ったときに達成感を得る」という体験の積み重ねが大事で、おもちゃはその機会を作るための道具だ。
くもんのソフトパズルの場合、大判→小判、シンプルな形→複雑な形という2軸で難易度が上がるので、子どもが「できる」と「できない」の境界線を長い期間にわたって体験し続けられる。これが半年間飽きずに使い続けられた理由だと思う。
ジグソーパズルSTEP1への移行タイミング
息子がジグソーパズルのSTEP1に移行したのは2歳2ヶ月ごろだった。ソフトパズルの小判シートを全部はめられるようになって少し経ったタイミングだ。
くもんジグソーパズルの各ステップの内容と対象年齢は別記事でまとめているが、STEP1は1.5歳以上対象で、4ピース構成から始まる。ソフトパズルで「ピースを見て形を合わせる」という基礎体験が積み上がっていたため、ジグソーへの移行はそれほど難しくなかった。
逆に言うと、ソフトパズルを経由せずいきなりジグソーSTEP1に挑んでいたら、「紙が薄くて破れる→怒る→パズル嫌いになる」というパターンになっていた気がする。ソフトパズルで「形を合わせる体験」を積んでおくことは、ジグソーパズルへのスムーズな移行という観点でも意味があった。
水洗いできるのは地味に大きい
地味なポイントだが、水洗い対応は実用上かなり助かる。1歳台の子どもはパズルをなめる。おやつを食べながら遊ぶ。床に落としてそのまま使う。フォーム素材のため表面が汚れやすいが、洗って乾かせば清潔に保てる。
ジグソーパズルは濡らしたら終わりだ。その点でも、1歳後半の「なめる・汚す」フェーズにはソフトパズルの方が向いている。
デメリットと気になったこと
- ピースが散らばる:特に外すフェーズは周囲にピースが飛び散る。収納袋や仕切りが付属していないため、ジッパーバッグ等を自前で用意した。
- 2歳を超えると難易度不足になる:小判シートまで全部マスターすると、このソフトパズルで次に進む先がない。そこでジグソーSTEP1に移行するのがちょうどいい流れになる。
- モチーフが動物・のりものだけ:食べ物や野菜・フルーツ系のシートがあれば語彙習得にも使えたが、現状2テーマのみ。多テーマへの拡張性はない。
他の知育おもちゃとの使い分け
1歳後半〜2歳前後は、パズル系だけでなく学研ニューブロックのような構成系おもちゃとの併用もおすすめだ。ソフトパズルが「決まった形に合わせる」収束的な思考を鍛えるのに対して、ブロック系は「自由に組み合わせる」発散的な遊びを提供する。どちらか一方だけでなく、役割の違う遊びを並行して体験させることが、この年齢の遊び環境として理想的だ。
またこどもちゃれんじぷちのような月齢別の知育プログラムと合わせて使うと、ソフトパズルを「今月の形の認識テーマ」に関連付けて遊ばせることもできる。親が意識的に声かけするだけで、おもちゃ単体よりも学習効果は高まる。
パパラボの結論
くもん はじめてのソフトパズルは、「1歳半でジグソーパズルを与えるのはまだ早い」という親向けの解決策として完成度が高い製品だ。紙のジグソーが破れる問題、ピースが小さすぎてつかめない問題、どちらも素材と形の段階設計で解決している。
2,000円前後の価格帯で4シートが入っているコストパフォーマンスも悪くない。使用期間は人によるが、息子の場合は1歳半から2歳3ヶ月まで約9ヶ月間使い続けた。月当たりのコストに換算すると非常に安い知育おもちゃだ。
くもんのパズルシリーズを考えているなら、まずこのソフトパズルから始めて、2歳前後にジグソーSTEP1へ移行するルートが最も失敗が少ないと思う。
