Stokke(ストッケ)トリップトラップ ハイチェア
欧州産ブナ材製 / ナチュラル・ホワイト・ブラックほかカラー多数 / 本体は赤ちゃんから大人まで使用可
Amazonで価格を見る(ナチュラル) 楽天市場で見る2歳息子のときの失敗から始まった話
息子が離乳食を始めたとき、我が家はホームセンターで売っていた折りたたみ式のベビーチェアを買った。たしか3,800円だった。足が着かない、ガタガタ揺れる、プラスチック部分が食べカスを吸着して洗いにくい——1年半でゴミになった。
そのときに「ちゃんとしたものを買えばよかった」と後悔した。娘の離乳食が始まるタイミングで、改めてベビーチェアを選び直すことにした。候補は最終的にふたつに絞れた。IKEA ANTILOPと、ストッケ トリップトラップだ。
IKEA ANTILOP:999円の実力を正直に評価する
IKEAのハイチェアANTILOPは税込み999円で本体が買える。専用トレイを加えても2,000円台に収まる。Amazonや楽天でも類似品が数千円で買えることを考えると、圧倒的なコストパフォーマンスだ。
口コミを調べると、評価はおおむね高い。プラスチック一体型の本体は汚れが落ちやすく、分解して丸洗いできる。海外の子育て家庭でも定番品として使われており、「子どもはどうせ汚す、安いほどいい」という考え方には完全に合っている。
ただし、気になる点が2つあった。ひとつは「足が着かない」こと。ANTILOPは足台がなく、子どもの足はぶらぶらした状態になる。姿勢と食事摂取の関係については海外の研究でも言及されており、足裏が着く状態のほうが体幹が安定して食べることに集中しやすいとされている。実際、息子が足台のない椅子に座っていたときに、食事中に何度も体がずり落ちそうになっていた記憶がある。
もうひとつは「長く使えない」こと。ANTILOPは対象年齢6ヶ月〜3歳程度が一般的な使用目安だ。3歳を過ぎると足が届き始め、椅子のサイズが合わなくなってくる。使い捨てに近い割り切り方が前提の設計だと理解する必要がある。
トリップトラップを選んだ理由:足が着く、長く使える、高く売れる
ストッケ トリップトラップの最大の特徴は、座面と足置き板を子どもの成長に合わせて調整できる構造にある。足置き板の高さを変えることで、離乳食期の赤ちゃんから小学生、さらに大人まで同じ椅子を使い続けることができる。1972年にノルウェーのデザイナー、ピーター・オプスヴィークが設計してから世界で1,300万脚以上が売れているロングセラーだ。
「足が着く」というのは想像以上に重要だと感じた。国民生活センターの幼児用いすに関する情報でも、子どもが安定して座れる設計の重要性が示されている。足裏がしっかり足置き板に着いている状態だと、娘が食事中に体を安定させやすく、スプーンを持つ動作に集中できる様子があった。
そして「高く売れる」という点も判断に入れた。トリップトラップはメルカリ・ヤフオクで状態の良いものは15,000〜25,000円で流通している。新品40,000円が使用後に20,000円で売れるなら、実質コストは20,000円になる。ANTILOPは廃棄コストがほぼゼロだが、処分するだけの出費になる。長期目線で見ると、高い椅子を買って売る選択が必ずしも割高ではない。
ベビーセット必須問題:本体だけでは使えない
ここが購入前に知っておくべき最大の落とし穴だ。トリップトラップの本体は、赤ちゃんが自分で座れる年齢(概ね3歳前後)を前提とした設計になっている。0歳〜2歳ごろに使うには「ベビーセット」という別売りのパーツが必要になる。
ベビーセットは背面のバックレストと、左右を囲むガードが一体になったパーツで、別途8,000〜10,000円程度かかる。本体価格が40,000円前後なので、ベビーセットと合わせると初期費用は50,000円を超える。ここで計算が変わってくる人も多いと思う。
さらに選択肢として「ニューボーンセット」もある。これは生後0〜6ヶ月の寝かせた状態の赤ちゃんでも使えるバウンサー的な使い方ができるオプションだが、我が家は離乳食開始のタイミングを基準としたため、ベビーセットのみで対応した。6ヶ月からベビーセット装着で使用し始めて問題なかった。
汚れ問題:マット塗装の実態
トリップトラップの本体はマット塗装仕上げになっている。ツヤなし塗装なのでナチュラルな木の質感があるが、「汚れやすいのでは」と心配する声をよく見る。実際に使ってみると、心配したほど汚れが落ちにくいとは感じなかった。
離乳食期は食べカスが本体にはねるのは避けられない。ミートソース、かぼちゃのペースト、ヨーグルト——毎食なにかしらついている。乾く前に濡れ布巾で拭くとほぼ落ちる。乾いてしまった場合は少し水で湿らせてから拭けば大概取れた。塗装が剥げたり染みになったりは今のところない。
むしろ掃除がしにくいのはベビーセットのガードまわりだ。食材が隙間に入り込む。ベビーセットは本体から取り外せるので、週1回ぐらいのペースで外して流水で洗っている。ベビービョルンのお食事セットと組み合わせると、プレートの縁で食べこぼしが受け止めやすく、本体への汚れが減って管理が楽になった。
デメリット3つ:買う前に知っておいてほしいこと
1. アクセサリー沼にはまる
トリップトラップには本体・ベビーセットのほかに、多数のアクセサリーが別売りされている。トレイ(食事用テーブル板)、クッション(座面用)、ハーネス(転落防止ベルト)が代表的だ。
我が家はハーネスを購入した。8,000円前後するが、娘が自分でベビーセットから立ち上がろうとする動きが出てきた時期に安心感が違った。ハーネスがあると自分で立ち上がれないため、食事に集中させやすい。クッションは正直なくても困らないが、ダイニングテーブルの椅子のように「座り心地重視」を求めるなら検討の余地はある。
トレイは「ベビーセットを使っている間はダイニングテーブルに近づけられないことがある」という理由で買う人が多い。我が家のダイニングテーブルの高さとトリップトラップが合っていたため、トレイは不要だった。購入前にテーブルの高さとトリップトラップの座面高を計算して確認しておくとよい。
2. 足の形状でお掃除ロボットが引っかかる
トリップトラップは4本脚ではなくL字型の脚が左右にある構造だ。この形状のせいで、ルンバなどのお掃除ロボットが脚に乗り上げたり、脚まわりを掃除できないケースがある。我が家はルンバを使っていないので実害はないが、ロボット掃除機を使っている家庭には注意が必要なポイントだ。脚の周囲を手でさっと拭く手間が生じることは念頭に置いておくといい。
3. 高さ調整に工具が必要で面倒
座面と足置き板の高さ調整はアレンキー(六角レンチ)を使う。これ自体は付属品に含まれているが、子どもの成長に合わせて半年〜1年おきに調整が必要になる。調整自体は5〜10分で終わる作業だが、「子どもが椅子に座っている状態では調整できない」という当たり前の制約があり、調整のタイミングを決めてやる必要がある。面倒だと感じる人は正直いると思う。
使い始めて半年のリアルな状況
娘が6ヶ月で離乳食を始めてから現在まで、トリップトラップは毎日の食事で使っている。ベビーセット装着の状態で、朝・昼・夕の3食。安定性については文句がない。子どもが体を揺らして暴れてもぐらつかない。重さがある木製本体が安定感の理由だと思う。
思いがけなかったメリットは「大人が食事を楽しみやすくなった」ことだ。娘がトリップトラップに座っていると、ダイニングテーブルで家族と目線が近い高さになる。息子と娘と私がテーブルを囲む形になり、食事の空気が変わった。これは椅子を実際に使ってみるまで想像していなかった副次効果だった。
マグマグでコップ飲みを練習するのも、トリップトラップに座った状態のほうが体が安定していて娘が飲みやすそうだった。椅子ひとつで食事まわりの体験が変わるのは、買ってみるまでピンとこなかった部分だ。
2歳息子にも使えるか問題
息子(2歳)はすでに別の椅子を使っている。トリップトラップは1台しか買っていないので、息子は別の椅子に座って食事する。もし息子の離乳食期にさかのぼって買い直せるなら、トリップトラップを2台買っていたと思う。1台の椅子が0歳から大人まで対応できるなら、兄弟でも長く使い回せる。
ただし現実的には「ふたりが同時に食事する」場面では2台必要になる。2台購入の場合は予算が10万円近くなるので、そこは家庭の判断による。床のジョイントマットも合わせて整備すると、椅子の安定感がさらに増す。
パパラボの結論:IKEAより3万円高い理由は実在した
「高い椅子を買う必要があるか」という問いに対する答えは、使う期間と使い方による、が正直なところだ。
IKEA ANTILOPは離乳食期の2〜3年を割り切って使うには優秀な選択肢だ。安く、掃除しやすく、使い捨て感覚で手放せる。それを否定するつもりはない。
ただ、以下の条件が当てはまるなら、トリップトラップを選ぶ意味は十分ある。「足がしっかり着いた姿勢で食べさせたい」「同じ椅子を10年単位で使いたい」「使い終わったら売りたい」——この3つのうちふたつ以上に当てはまるなら、差額3万円は回収できると感じた。
ベビーセット込みで5万円超の初期投資は重い。それは事実だ。でも使用後に2万円で売れることを考えると、実質コストはANTILOPと大きくは変わらない計算になる。0歳娘の食事椅子として「買って後悔した」という気持ちはまだない。
